2019年3月11日

ものづくりとAI

AIを実務に取入れものづくり改革を進めるには(2)

“AIを活用できる”とは?

1)データ基盤

“AIの活用”がどういう状態かまとめてみると、大きく3つに分かれる。1つは、皆さんも頭を抱えていると思うが、データの基盤になる。人間は聞いたり経験から推し量ったりしてデータをインプットできるが、AIは整理されたものでないとインプットしにくい。いわば何も知らない赤ん坊の状態から教え込んでいく必要がある。私たちはそれなりに知見・知識を持ち、そこから判断して概念をつくっていく。AIはそれを行うためにデータの基盤が必要だ。

肝心なのは、量・質ともに重要であるということ。AIの話をすると、データの量の問題に直面すると思うが、それ以上に質も重要。データが整理されていない状態だとインプットの際にエラーの発生や、精度の未達に繋がる。このデータ基盤が、AIを活用する第一歩として重要になる。

図 データ基盤

 

このフローチャートを使って、データの状態を自己診断してほしい。基盤となるデータがなかったり、そのデータの量・質が悪かったりする(量が少ない、データが整理されていないなど)場合は、データの取得から始めなければならない。IoTが進化し、データベースも安価になってきており、データの取得から保存がしやすくなった。したがって、取れるデータは取得し保存しておいた方がよいかもしれない。

データの量も質も悪くないものがそろっている時でも、保管方法が最後の壁になる。ExcelやPDF、古いメインフレームの中にあるなど、保管方法が悪いと単発的な解析なら可能。保管方法がしっかりしているとAIを使って継続的に解析ができる。ここでAIを使って何か解析する時に、1回解析モデルをつくるのみで終わるパターンと、そのモデルを改良していくパターンに分かれる。いずれのパターンにしても、データの保管方法は確認しておく必要がある。これらが私たちの活動の前提条件になる。

2)分析実施

ここで考えないといけないのは、どういうレベル感で分析をするか。AIについては毎日のように論文が発表され、新しい技術が生み出されている中で、やれることが多すぎる状態になっている。データ基盤を使った分析において、何をどこまでやるのかをきちんと決めることが重要だ。ワトソンは汎用的に使いやすいと言われているが、その分コストも大きくなると言われている。どこまで広さと深さを追求するか、的確な選択が求められる。

図 分析実施

 

分析レベルを5段階で整理すると、レベル1はAIや機械学習という話よりも遠い「分析力に劣る」状態。レベル5は「分析力を武器にする」。会社で言えばGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)といったところが該当する。私たちが今どのレベルにいるのか、ぜひチェックしてほしい。今日参加している皆さんはレベル2またはレベル3にいるところが多いのではないか。今の状況や取るべき対策を見て、そもそもレベル3にいない場合はAIを活用すべきか、もう一度立ち返って議論すべきだ。こういう位置づけを理解しないまま「AIをやりましょう」と話をしてもなかなか進まないし、フラストレーションがたまるだけなので、しっかり確認をしてほしい。

3)人材確保

誰が何をやるか、人材の確保が課題になってきている。会社によっては研究所があるところもあれば、担当者すらいないところもある。そういう会社が全部自前主義でやるべきかどうか。会社内外問わずに人材をどのように集めていくかがカギになる。

図 人材確保

データサイエンティスト協会が「必要なスキル」として挙げているのが「ビジネス力」「データサイエンス力」「エンジニア力」の3つ。皆さんは「ビジネス力」はあるものの、「データサイエンス力」「エンジニア力」が弱い人が多いのではないか。これらのスキル・パワーは必要な場面や状況によって求められるものが異なる。ここで言えることは、一人ではできないということ。そういう意味で私たちのようなプロフェッショナルサービスを活用していただく。あるいは、社内で専攻のある方を採用し育成しながら内製化していくことが必要だ。

また、AIを構築して終わりではない。「ビジネス力」「データサイエンス力」「エンジニア力」の3つの力がある人をうまく扱って素敵なモデルができても、それを実行・頒布してくれるような人材が必要。いま、どの会社に伺っても一人で悩まれている方が多いが、一人で解決できるような課題ではない。AIを検討する時には、どういう体制を組むかも考えていただきたい。体制が整っているところ、あるいはこういう人材がいるところが伸びてきている。

AIの活用に向けて (検討手順)

CRISP-DMという手順を改良して、上に2つ加えている。データ準備、モデル、評価、システム適用の前段階として、AIを使った解決の資源(ビジネス規模)があるかどうか。AIによる売り上げアップの話の中で、AIは足し算ではなく掛け算だとよく言われる。したがって、売上が数千万などという規模に適用するのは好ましくない。まずは解決する資源、規模、基盤整備、人材といったところをチェックしてほしい。

そして課題・指標を決定後、それがExcelなどの既存の仕組みで解決できないか、踏みとどまって検討していただきたい。単発の解析や簡単な統計的分析はExcelでできる場合もある。AIでやることを目的にしてしまうと茨の道になってしまうので、ぜひ一度立ち止まって考えてほしい。ここを議論して決まった後でデータ解析やAI作成に進むと成功率が上がるので、今日確認してほしい。

 

AIを実務に取入れものづくり改革を進めるには(1)

コンサルタント紹介

小野 甫

デジタルイノベーション推進事業本部 チーフ・コンサルタント

主に製造業のIoT化構想策定~プロセスの改革まで全般を推進。あらゆる機能・領域のデジタルトランスフォーメーション推進に取組んでいる。AI活用可能性検討プロジェクトなどを担当。
【主なコンサルティング領域】
 ・製造業のIoT化推進、デジタル・イノベーション構想立案支援
 ・最適システム・ツール選定、IoTツール開発新市場構築支援
 ・データサイエンティスト育成

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