邸別仕様対応のキッチンのインダストリー4.0
~ノビリア(Nobilia)社のマス・カスタマイゼーション~

欧州最大のキッチンメーカーが導入した生産方式

インダストリー4.0を実践しているといわれるドイツのノビリアは、欧州最大のキッチンメーカーである。その生産量は、毎日2,600セット、年間58万セットと莫大でありながら、扱うキッチンはすべてが個別仕様である。生産は人件費の高いドイツ・ウェストファリア地方であることから、より効率的な工場の運用・管理が必要であった。また、加工のクリアランスのバラつきによる品質不具合を改善し、工程内での品質向上を図り、コストを低減させ、競合のキッチンメーカーに勝つ競争力を持つことが求められた。そのためノビリアでは先進的な生産方式として「Manufacturing by Wire」を導入している。

生産工程ですべての部品がアイデンティティーを持つ

生産工程は、材料を部品に加工する「前工程」と部品を完成品に組み立てる「後工程」に分かれている。

前工程:設備をモニタリング

前工程では、部品や用途ごとに異なる組立用の穴位置をすべてデータウェアハウスで管理している。ノビリアの工場内では情報収集と収集した情報をつなげる事を目的にすべての設備機器にセンサーを取り付けている。それにより、ドリルの穴開け時のスピンドルモータの電流値や電力、モータやワークの振動のような設備の特性値のモニタリングの結果から設備の劣化状態、故障状態を監視するといった「設備モニタリング」を実現している。

また、穴の形成過程と切りくずの形状や温度といった部品加工における品質状態に影響する複数の管理パラメータの傾向から最適な補正値を算出し、後工程での製造条件に反映するといった「品質モニタリング」も実現している。

後工程で各部品を個々で識別

後工程では、在庫された加工済み部品からERP・MESが個別注文ごとに必要な部品を選定し、ピッキングされた部品に個体識別用のRFIDタグやバーコードが付けられる。この時点で生産工程とERPが直結することになり、各部品が個々で識別できるようになる。邸別仕様の異なる製品を個体認識させ、すべての部品がアイデンティティーを持つことによって、加工計画が組立計画に同期できるように輻輳(ふくそう)系列のスケジューリングにしている。結果、正しい加工、供給をリアルタイムで行うといった流れ生産のための最適なスケジューリングの立案と不具合発生時の個別の原因究明(顧客対応含む)が効率化できる。

インダストリー4.0を実践する「Manufacturing by Wire」

インダストリー4.0を実践するノビリアはこの生産方式「Manufacturing by Wire」によって、全製品カスタム仕様でありながら、製品品質の向上と生産コストを下げることを実現した。ドイツ国内の生産拠点においても価格競争力が高まり、世界67ヵ国に向けた製品の販売を行っている。

ノビリア社の製品は、さまざまな部品を組み合わせてさまざまな顧客の要求に応えられるような製品/部品の構成を備えているモジュラー型製品である。同社のようにマス・カスタマイゼーションの実現には、モジュラー型製品であることが望ましく、その実現のために製品アーキテクチャをつくり変えることが必要になる。

ノビリアが取り組んだマス・カスタマイゼーション 

コンサルタント紹介

毛利 大

プロダクションデザイン革新センター長/シニア・コンサルタント

メーカーを経てJMAC入社。生産戦略と呼応した生産システム再構築支援、新工場建設、生産プロセス再設計を得意とする。
【主なコンサルティング領域】
 ・生産戦略立案、新工場建設、生産拠点再編
 ・需給特性応じた生産管理プロセス再構築
 ・デジタル化を通じた総合生産性向上支援
 ・スマートファクトリー構想立案と構築支援

神山 洋輔

プロダクションデザイン革新センター/チーフ・コンサルタント

製造業の次世代生産システム構築立案からIoT化デジタル化支援含めた総合コンサルティングを行っている。
【主なコンサルティング領域】
 ・新工場計画/工程設計
 ・設備生産性向上/労働生産性向上実践
 ・製造業のデジタル化推進支援

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