【事例:IoC/場面】生産現場の「カウント」に労力をかけ過ぎ?
現場IoT7つ道具その④ Internet of Count

IoT7つ道具のうち「IoC:Internet of Count」は、「数量」“Count”の頭文字「C」をとってIoCと呼んでいる。これは「あらゆるものの数量を“Count”し、インターネットにつなげる」という考え方である。

優先的に改善されるべき「カウント」作業

製造現場には「3M:Man、Machine、Material」という言葉で表現される、さまざまな資源が投入されている。高い生産性を実現するためには、投入資源を有効に活用する必要があり、投入資源の管理は重要な業務として従来から継続的に行われている。
一方で、現場で資源の量をカウントすることに過剰な労力を割かれている様子も見受けられる。

具体的に数量をカウントする作業とは、

・ 生産量や仕掛量など製造工程の状態を把握する
・ 不良数や不良重量など材料の活用状態を把握する
・ 設備や治工具、台車などの活用状態を把握する
・ 入庫量や出庫量・在庫量という保有状態を把握する

さまざまな対象に対し、さまざまな方法で数量をカウントしたり、実績の記録・蓄積を日々現場で行っているのである。

「数量」とひとくくりにいっても、個数やロット数など「数」を数えるものや、重量や流量など「量」を測定するものもあり、多種多様なカウントが行われている。
すでに数量管理をセンサーやマーカーを使用して労力をかけずに行えるよう工夫している現場もあるが、作業者が日々帳票を記入し、その結果を入力、集計するという手間をかけている現場もいまだ数多く存在している。
このように「数量をカウントし、記入、実績を集計する」というのは、製造現場において付加価値を生み出さない作業であり、優先的に改善されなければいけない作業である。そのためにも、センサーやマーカーを使用したIoCツールの活用を検討し、作業者が数量実績収集から開放され、製造現場の生産性をより高めることに注力できるようにすることが優先的課題なのである。

IoC活用事例① 不良品のカウント

製造現場でのIoC活用例として、製造工程で発生する不良品のカウントについて触れてみたい。これはほとんどの現場で行われており、身近な例であろう。
従来、不良品は、その原因や現象で層別したものごとに数量を把握するのが一般的だった。数量はある一定時間が経過したり、ある製品の製造が完了すると数えられ、1日が終了すると記録を入力し、集計する。結果として1日終了後に良品率(不良率)が明らかになる、というのがこれまでの管理方法であった。

しかし、この方法では1日が終了しないと不良率を把握できない。
IoCを活用すると、原因や現象別に層別された不良品をリアルタイムでカウントするようにできるのである。
・通過数を読取りデータを収集する
・重量変化を即座に読み取る
・マーカーなどを活用し、数量情報を常時蓄積し、瞬時に不良率を把握できる

IoCを活用したことで、これらのことが可能となり、従来では1日終了しないと判断できなかった不良率がつねに瞬時に把握できるようになったのである。
また、「つねに数量を把握できる」ということは、言い換えれば「異常発生時点が把握できる」ということでもある。つまり、異常発生時点における改善検討も従来に比べて進めやすくなるであろう。

IoC活用事例② 棚卸しのカウント

2つ目のIoC活用事例は、“棚卸し”のような、「ある時点での数量管理」について述べていく。
従来は、アイテムごとに入出荷表(入庫数、払い出し数、在庫数を記録する帳票)を付けておき、作業者の使用時あるいは入庫のたびに帳票へ記入し現品の数量を記録しておき、ある一定期間がたつと、入出荷表の情報を収集し、在庫情報を記録、システム上の在庫情報との差異を調査、修正するのが棚卸しの方法であった。
対象となるアイテム数が多いと、それだけ手間も時間もかかる。極端な場合、作業者は作業をやめて全員でアイテム別に在庫を数えるという現場もある。
このような現場では、以下のような方法がIoCによる課題解決方法となるであろう。

・ RFID:radio frequency identifierのようなタグを活用する
・ 製品にバーコードなどを付けてリーダーで自動的に数量を読み取る

タグやバーコードの作成・設置は、ある程度の手間がかかることが予想される。だが、その後のカウント、実績集計が効率的に行えるようになる効果は大きい。また、効率的に実績収集ができると、月次作業が「日々」あるいは「瞬時に」行えるようになるのも大きなメリットであろう。

 

これらIoCの活用例については、すでに類似の方法に取り組んでいる現場も多いと思う。新しいセンサーやリーダーが次々開発されているので、どのような方法がもっとも効率的なのかあらためて検討しても良いだろう。
また、このような数量カウント情報と併せて、設備の稼動状態や作業者の状態など他のセンシング情報と組み合わせることで、よりきめ細かな製造現場の把握ができるようになる。

コンサルタント紹介

角田 賢司

プロセスデザイン革新センター長/シニア・コンサルタント

製造業の収益向上目標を達成するための総合的な支援に取組んでいる。現場密着型のコンサルティングを得意とする。
【主なコンサルティング領域】
・収益向上マスタープランの策定と実現
・生産システムの構築、改善-生産方式、生産編成
・IoTツールを活用した現場改革余地診断及び改革支援

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