【事例:IoQ/品質】IoT化で品質確保。点検効率と修理対応もスピードUP
現場IoT7つ道具その⑦Internet of Quality

IoTは現場における「品質」の確保にも役立つ。JMACではIoTを活用した品質分析ツールを「IoQ:Internet of Quality」と呼んでいる。
従来型の、過去の品質情報や安全情報が一箇所に集約されてから提供されるシステムに比べ、IoTを使えば圧倒的に早く正確な情報を共有化できるようになる。さらに、製品や部品の1個単位、人や設備の各単位の管理によって、確率統計的な対応から脱却した全数管理による情報精度の向上とコストの削減も期待できるのだ。

デジタル画像データで品質を確保

「品質」を確保するには、製品品質の異常を検知または予測して、市場への不良流出を防止しなければならない。具体的なポイントとして、下記の3点があげられる。

1. 要求される製品品質基準を設定すること
2. その基準から逸脱した場合、いち早く発見して修正すること
3. 事前に逸脱の予兆を捉え問題発生を事前に防止すること

最初の品質基準の設定とは、品質の目標値とバラツキの許容値を決めることである。機能・性能的な基準は、設計値とその試験検証により決定される。だが、外観品質などのある種の感覚的な品質基準は、基準の計数化が難しくトラブルにつながりやすい。
そこでIoTを活用して、「デジタル限度見本」を作成することでこの問題の解決を図る。
「デジタル限度見本」とは、たとえば、製品外観のキズやヨゴレ、色のバラツキなどを画像処理によってデジタルデータ化し、感覚的な判断と照らし合わせて合格の範囲を決めておくというものだ。

合格範囲を計数化しておけば、検査基準に反映することも比較的容易であるし、どの製造ラインや拠点においても一貫した品質管理を行うことができる。
またこの方法は、顧客ごとの要求レベルの違いを反映する個別対応も可能となり、たとえばリネンサプライにおけるレンタル品の検品や寿命判定の活用などにも期待されている。

タグ付けで製品確保

逸脱の発見と修正は、通常、検査によるチェックが行われる。AQL:Acceptable Quality Level合格品質水準にもとづく抜取り検査方式は、検査コストの経済性を考えた代表的なものである。

これらは統計的な確率を基本としているが、画像処理などのデジタル計測技術は1製品ごとの検査コストが限りなくゼロに近づき、さらにデータ保管コストも格段に安価になるため、今後全数検査が基本となると考えられている。
IoT化によって製品ごとのタグ付け(アドレス割付)が進めば、一つひとつの製品生産工程上の経過が記録される中に検査データも含まれるため、不良発見は工程の上流部分で押さえられ、ロスコストは大幅に削減されるものと考えられる。

さらに発展させると、製品そのものだけではなく製造作業の状態をモニタリングして分析(つまり「作業自体を検査する」)ことで、逸脱原因を事前に把握し、異常発生を未然に防止することにもつながる。
逸脱につながるメカニズムは、複数の要因が影響した複雑性の高いものが多い。作業や設備の状態、さらに原材料の特性に関係する多くのパラメータをセンシングして、ネットワーク上で関係づけて比較分析することにより、逸脱対応の事前化が可能になる。

IoT化で点検効率と修理対応スピードも向上

IoTはこのようなオンラインの検査だけではなく、オフラインにおける設備点検作業などにも応用できる。これまで検査員が設備点検する際は、各設備に固有の点検箇所や判定基準があるために、点検箇所や過去の検査データが記録された帳票を持参しながら点検作業を行ってきた。現在は、設備に設置されているビーコンから、手持ちのタブレットにクラウド上の適切な点検情報が送られてくるスマート設備点検システムが実用化されている。

点検項目の抜け・漏れをなくし、判定基準や過去の検査データ、交換部品の有無を参考にすることで、点検効率と修理対応スピードの向上が図られている。

 

コンサルタント紹介

辻本 靖

生産コンサルティング事業本部生産エンジニアリング革新センター/チーフ・コンサルタント

自動車部品メーカーにて設計部門に従事後、JMAC入社。開発・生産領域のIoT取組みによる改革を推進。品質マネジメントシステム構築、生産性向上及びものづくり人材育成などを手がける。
【主なコンサルティング領域】
 ・IoT7つ道具による総合生産性向上
 ・デジタルイノベーション構想策定
 ・品質向上、品質マネジメント体制構築支援

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