IoT時代に必要な5つの人材タイプ

新しい技術の開発とは、無から有を生み出すことではない。技術はつねに日々の積み上げから進歩するものであり、かつ「人」についてくる。

IoTに取り組み未来をつかむためには、多くの経営者がIoT化を促進・活用できる人材が必要だと感じているだろう。日本企業の強みを踏まえ、これからの時代に必要な新しい能力を備えた人材が必要だ。

次世代ものづくりに必要な要件を備えた人材タイプは5つあると考えられる。下記の図は、IoT時代の3つのイノベーションカテゴリーと生産システムの階層構造を対比させながら、ビジネスモデルの企画から現場の基盤までを層別化し、各層に必要な人材イメージを示したものである。

IoT時代の生産システムと5つの人材タイプ

 

■ビジネスクリエイター

自社のビジネスの強みや特性を深く理解し、日本だけでなく世界のビジネスの潮流のなかで自社を位置づけられるセンスを持った人材。自社事業を取り巻く環境変化を客観的に捉え、自社のポジショニングやものづくりの強みを認識したうえで、新しいビジネスモデルを創造できる人材を指す。

■ものづくりデザイナー

ビジネスクリエーターの構想を実現する、つまり、具体的に自社のものづくりに落としこめるよう全体を企画運営する役割。次世代ものづくりでいうマス・カスタマイズの推進や、サプライチェーン全体の最適化を企画する。ものづくりデザイナーは、IoTを活用した新しいものづくりの牽引役として期待される人材である。

■データサイエンティスト

ものづくりに関するあらゆる情報を活用し、モノに付加価値をつける技術者のこと。具体的にはCPS(Cyber-Physical Systems)に取り込むアルゴリズムをつくる役割で、そのアルゴリズムをつくるためにAIなどを活用しビッグデータの解析から論理法則を見つけ、活用の条件選択のロジックを作り込むという新しい知識と能力が必要になる。人間の判断に変わるアルゴリズムを開発できる人材は、現時点では非常に希少であるから、外部のデータサイエンティストと連携し、専門技術を活用しながら仕事を進めていくことが重要となる。

■システムエンジニア

上記の図で示した生産システム構築は、外部のICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)ベンダーに多くをゆだねている企業も見受けられる。しかし、これからは、自社内で全体のシステムに精通しているシステムエンジニアが必ず必要になる。なぜなら具体的なITシステムや制御システムの要求仕様を設計できる人材がいなければ、自社のビジネスに適合したシステムの構築は難しいからである。

工場内の生産管理や品質管理、設備保全、製造設備の統合制御などのシステム全体の維持構築でき、なおかつ自社のグランドデザインを共有できるシステムエンジニアは、今以上に重要な役割を担うようになるであろう。

■“考える”生産技術者

フレキシブルな工程や設備設計、自動化前の工程・作業・工程編成・生産管理の仕組みや、定置管理・設備故障最少・欠品最少・段取時間最少などの改善を促進させる生産技術者も必要不可欠である。

次世代生産システムを構築するには、これまでに経験したことのない壁がいくつも出現する。その際、「仮説をたてる」「解決できる単位のテーマに落とし込む」「解決策を生み出す」、このような仮説・検証サイクルを繰り返すことによって、ブレイクスルーが可能になるが、これらは日々生産技術者が培ってきた能力である。昨今、海外工場移転が進みこの能力を鍛える機会が減っていることが懸念されるが、IoT化で成果を獲得するためには、このような「考える」生産技術者をいかに育成できるかに勝負がかかっている。

いずれにせよ、これからIoTを推進する人材に共通することは、自社のものづくりのグランドデザインを描くことや、それを具体化していくために必要な「考える力」があることだ。そして、これからのIoT時代には、これまでとはまったく違った発想からの知恵が必要であり、そのためには外部の専門的な力やリソースを十分に活用する柔軟性を兼ね備えていることである。

 

繰り返し強調するが、日本企業が持つ強みは、「人材」である。これからの第4次産業革命で、ロボット・IoT・AIの時代が到来するといわれるが、どのような時代であっても、「人材」が日本企業の強みである。“次世代を担う人材”と、その“人”の能力を活かしきるマネジメント”が今後も求められるだろう。

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コンサルタント紹介

松本 賢治

執行役員 デジタルイノベーション事業本部長/シニア・コンサルタント

多様化するものづくりの分野において長年数多くの企業を支援してきた。IoTイノベーションマップ/oT7つ道具などを開発し企業のデジタルイノベーションを支援している。
【主なコンサルティング領域】
 ・デジタル・イノベーション、IoT化の推進
 ・IoT/ICT/A活用したI新しいビジネスモデル開発
 ・データドリブン経営/情報システム再構築
 ・データを活用したサプライチェーン改革

小野 甫

デジタルイノベーション推進事業本部 チーフ・コンサルタント

主に製造業のIoT化構想策定~プロセスの改革まで全般を推進。あらゆる機能・領域のデジタルトランスフォーメーション推進に取組んでいる。AI活用可能性検討プロジェクトなどを担当。
【主なコンサルティング領域】
 ・製造業のIoT化推進、デジタル・イノベーション構想立案支援
 ・最適システム・ツール選定、IoTツール開発新市場構築支援
 ・データサイエンティスト育成

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