情報システムが次世代生産システムをリードする

いままでの情報システムは、あらかじめ決められたロジックにもとづいて、インプット情報を加工(論理計算)した後、アウトプット情報を人間側に提供する、いわゆる情報の加工処理を担っていた。IoT時代となって、情報システムには最適解のための自律的情報処理など高度な機能が求められている。これからの生産システムは情報システムがリードするのである。

期待される情報システムの新機能

IoT時代の情報システムには従来の進化版として、

①統合型見える化機能
 生産情報とマネジメント情報の見える化機能

②最適解提示機能
 個別設備の有機的な制御の機能と刻々と変化する生産情報を拾い最適解を人間側に示す機能

③逸脱防止・自己復帰機能
 逸脱・異常の自己判断による復帰、アクシデントの防止機能

などの機能が新たに追加される。

①について例をあげれば、混流生産の制御の場合、個別製品の固有情報 ID(Identity Document)を認識し、IDに対応したあらかじめ決められたシーケンスで設備をコントロールするシステムの機能である。「個別性・多様化」に対応するソリューションとして、管理対象品であるID情報との生産計画指示情報に応じた、タイムリーな個別製品、部品、工程、治工具をコントロールする。

すでに宅配便の物流システムや自動車工場の混流組立生産におけるオプション仕様の生産指示情報などに適用されている。さらに、ID情報を活用する個別性の高い管理情報システムは、すでに実用化されていて適用が拡大している。

②と③は、「最適化・自律化」に対する情報システムの機能である。異常対応や例外処理を自律的にコントロールする。たとえば欠品や設備故障が発生したとき、生産計画の組直しや各部門への変更情報の指示をすばやく出すなどの異常時の対応が必要になる。

これまでは生産管理者、工程管理者が判断していたことを、コンピュータに肩代わりさせ、瞬時に最適解をアウトプットさせるシステムである。また、M2M(Machine to Machine)のようなマシン同士を通信でつないで、あたかも自由意思を持ったように状況に応じて判断させて設備を制御させる機能である。ほかにも、エンジニアリングチェーンにおいて、設計者が設計した図面の検図において設計ルールと違うところを発見する、過去のトラブルから不具合を指摘するなど、過去情報と実情報の差異の論理判断への適用も期待される機能である。

活用が期待されるCPS

これまでの情報処理は、人間では処理や計算が難しい演算処理作業にコンピュータを活用した時代であった。IoT時代では、あらかじめ決められたルールの逸脱の発見やケースごとの違いを自己判断して、最適な解をアウトプットできる自律的情報処理を目指している。

このような考え方をCPS(Cyber Physical Systems)と呼ぶ。

CPSの概念

 

CPSを使えば、いままで人の頭脳で判断処理していたノウハウをコンピュータで処理できるアルゴリズムによって、コンピュータの中(サイバー空間)で人間の脳では不可能な最適解の演算を高速で処理し、現実(フィジカル)をコントロールすることができる。

たとえば、生産管理においては、進捗状況に応じて短サイクルでリスケジューリングが可能になる。また、その場に応じた最適な生産管理情報を瞬時に論理演算を行って提供するなど、人間を介さなくてもシステムが自律的に生産をコントロールすることも可能だ。

次世代ものづくりの情報処理システムは、
•センシング技術
•判断の論理演算処理技術
•遠隔でもコントールできる通信技術
の3つの技術の進歩によって支えられている。

センシング技術と通信技術は、低価格化によって活用が容易になってきたが、判断処理を司る演算処理は、人工知能の進化を待たねばならない。現時点では、工場のすべての制御、判断、計画作成、指示業務に対してアルゴリズムをつくり込むことは難しい。

しかし、人間のようにコンピュータにも学習機能を持たせようという試みがAI(人工知能)である。現時点においては、大量の既知情報を取得して結論を導き出す推論機能(エキスパートシステム)は、パソコンの文字の再現性などに活用されているが、民生用の活用例は少ない。事例ベース推論やファジィー制御、ニューラルネットワーク、進化的計算手法などを活用した研究が進んでいるが、実用化はもう少し先であろう。

JMACもAIを個別性の高い工場へ活用すべく、外部のエキスパートとともに適用研究を進めている。

参考ページ

コンサルタント紹介

茂木 龍哉

サプライチェーン革新センター長/シニア・コンサルタント

サプライチェーンマネジメントの視点から、ものづくり事業全体のシステム改革を支援。
【主なコンサルティング領域】
 ・サプライチェーンマネジメント改革
 ・物流・生産管理システム構築
 ・製造業経営システム構築全般

武田 啓史

サプライチェーン革新センター/チーフ・コンサルタント

調達・生産・物流・販売を通したサプライチェーン全体の改革支援を推進している。
【主なコンサルティング領域】
 ・情報システム改革、業務システム改革
 ・物流・生産管理システム構築
 ・コストダウン活動全般

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