次世代生産モデル「スマートファクトリー」の実現

IoTを活用することで膨大なデータ収集が可能となった。これは数値化されたデータによって瞬時に現状を“見える化”し、より正確に・より高速に・より広範囲に工場の状態を分析・把握できるようになるということだ。

スマートファクトリーの目指す姿

工場内のあらゆるシステムや機械がインターネットを介してつながり、工場の現状を常時把握することができる。つながることで、稼動状況などのデータの送受信を行い、“見える化”し問題を発見する。さらにAI(人工知能)が解析して、最適化される。工場の管理機能を可能な限り人を介さず行いながら、自動化し自律的なサイクルを目指すことができる。

このようにスマートファクトリーとは、CPS(Cyber-Physical Systems)と言われる自動判断機能がそれぞれ高度に連携し、工場全体がもっとも効率の良い状態で自律的に稼動することを実現させるのである。

※CPS(Cyber-Physical Systems)とは、現実世界をセンサーやデータを通じてサイバー空間に取り込み、サイバー空間におけるシュミレーション/分析による解析結果や予測を、現実社会にフィードバックする仕組みを指す。

自動化による自律的なサイクルを目指す

究極的な向上を実現するために

このスマートファクトリーが目指すのは、Q(品質:Quality)C(コスト:Cost)D(デリバリー:Delivery)の極限までの向上である。そのためには、不良ゼロ、設備の故障停止ゼロなどの稼動率の最大化、人・設備の高生産性化、リードタイムの短縮、在庫のミニマム化などが不可欠な要件となる。見える化と自動化によって究極にムダを省いた、いわゆる筋肉質な究極のリーン・マニュファクチャリング(lean manufacturing)が必要だ。

究極のリーン・マニュファクチャリングへ

 

多品種少量生産では、工場管理業務においても、製造現場の作業においても処理が複雑かつ煩雑なため、業務の自動化が難しかった。短納期要請、ストックレス生産が要求される中で、業務効率化に取り組み、業務プロセスの簡素化を図るICT化を目指してきたが、例外処理や異常時には、人間がバックアップせざるを得なかった。

製造ラインにおいても、単一の工程系列ですべての部品/製品の加工、組立に対応することができないため、複数の工程系列をつくる必要があり、自動化しても投資/効果が折りあわなかったのである。スマートファクトリーは、このような多品種少量生産の自動化の問題解決に貢献できる生産システムとして期待されている。

IoTの活用レベルとオペレーションレベルを同時に高める

このスマートファクトリーの実現には、情報を活用するネットワークの構築とアルゴリズムの整理、およびフレキシブルな設備・ロボットの進化が必要である。すなわち、スマートファクトリーへ到達するためには、IT、ICT、IoTの活用レベルを上げていくと同時に、ハードや運用基盤、つまりものづくりのオペレーションレベルも高めなくてはならない。その2つの軸が、相互にバランス良く向上することで、IoTの取組みの成果を最大化することができる。

このことを別の記事で述べている5つのレイヤーと関連づけて図に示しておく。

ICT・IT・IoT活用レベルとオペレーションレベルの向上

スマートファクトリーの実現には、多大な資金が必要になるため、投資/効果を最大にしなければならない。それには、どのような工場にしたいか、理想は何かと、自社なりのスマートファクトリーの構想を描くことが大事である。情報技術の革新が起こっている今であれば、その理想形を、効率的に実現することが可能である。まずは将来を志向したグランドデザインを描きながらスマートファクトリーの実現にむけて、効果のある課題から取組んでいくことが肝要である。

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コンサルタント紹介

毛利 大

プロダクションデザイン革新センター長/シニア・コンサルタント

大手自動車メーカーに入社し、エンジニアとして実務を経験した後、JMAC入社。生産部門および開発設計部門のシームレスな収益改善・体質改善活動を支援。事業/生産/技術/知財戦略を組み合せた次世代ものづくり/スマートファクトリー化を推進。
【主なコンサルティング領域】
 ・開発生産戦略立案、ものづくり領域全般
 ・国内外の新工場工場立ち上げ設備投資計画
 ・スマートファクトリー構想立案策定支援
 ・IoT/ICT/A活用したI新しいビジネスモデル開発

神山 洋輔

プロダクションデザイン革新センター/チーフ・コンサルタント

製造業の次世代生産システム構築立案からIoT化デジタル化支援含めた総合コンサルティングを行っている。
【主なコンサルティング領域】
 ・新工場計画/工程設計
 ・設備生産性向上/労働生産性向上実践
 ・製造業のデジタル化推進支援

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