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2018年4月20日
スマートファクトリー構想の具体化
スマートファクトリーは次世代の理想の生産システムである。現場の機械や設備をインターネットに繋げ、稼働状況をリアルタイムに把握し、現場全体の稼動をもっとも効率的に実現することで、最大の利益を生み出すようにする。
顧客の多様化に対応すすためには、生産システムの情報化をさらに進める必要がある。マスカスタマイズ生産を実現するために、コンピューターによる最適化判断、CPS自律制御などを目指して情報化に取り組む。そうでなければ、ハード側の生産システムで柔軟性を作りみマスカスタマイズ生産に近づけなくてはならない。
次世代生産システムのアーキテクチャーを最適化
またスマートファクトリーのような各機能が融合して最適化される生産システムは、各要素単位でばらばらとシステム開発してしまうと部分最適に留まり、有効に機能しなくなる恐れがある。
そこで、JMACが支援する「次世代生産システム検討プロジェクト」では、全体最適なグランドデザインを描き、製品系・工程系・情報系のそれぞれのアーキテクチャー要素の関係性を最適になるよう位置づけていく。プロジェクトでは、製品・工程・情報の構造を踏まえ、3つのアーキテクチャーの最適化を検討しつつ、スマートファクトリーの構築具体化の計画を立案する。
<製品系アーキテクチャー>
製品系では、「今後の製品アーキテクチャー」について検討する。とくにマス・カスタマイゼーションを効率的に実現するために、モジュール化など製品アーキテクチャーの在り方を見直していく。商品性を担保しつつも、製品設計時から生産要件/工程制約なども考慮して、生産側面からみた製品のフレキシビリティ向上をはかる。製品戦略→デザインルール→アーキテクチャーとつなげることができるよう自社なりに差別化できるモジュール単位を決定することがポイントになる。
<工程系アーキテクチャー>
工程系では「次世代の工程アーキテクチャー」を描いていく。製品のアーキテクチャーと工程のアーキテクチャーを同時に考え、IoT時代のイノベーションとすべく「ものづくり」のジェネレーションアップをねらっていく。ここでは、たとえば分散型生産システムもオプションとして検討できる。分散型で生産する際の製品モジュールの割り方など同時に検討する要素がいくつもあるが、情報は集約型で生産は分散型にすることでスピーディに生産戦略を実現することができる。
<情報系アーキテクチャー>
情報系では、「ステージ別の情報アーキテクチャー」について情報技術の動向を把握しながら作成する。情報系機能のデザインを行うために「機器接続」「外部接続」「統合制御」「自律制御」の4つのステージのどのステージに取り組むべきかを検討する。製品系・工程系のアーキテクチャーと合わせて、先進的であっても、柔軟性のある無理のない投資判断を行えるプランをつくることがポイントである。
3つのアーキテクチャーと生産システム5つのレイヤー
一方、生産システムには5つのレイヤー構造がある。そこで、プロジェクトでは、ものづくりをこの5つのレイヤー構造を捉え、製品・工程・情報の3つのアーキテクチャーをデザインしていく。
レイヤー5 CPS/ビッグデータ解析/AI
レイヤー4 IoT/ネットワーク構築
レイヤー3 CIM/MES
レイヤー2 FA/ロボットとその制御系ソフト
レイヤー1 工場基盤
次世代生産システム構想検討イメージ
次世代生産システム構想プロジェクトで検討する大きな流れはこうだ。
1.グランドデザインを描く
まず、市場特性・事業特性・生産特性といった自社の特性を客観視しながら、製品系・工程系・情報系の全般にわたって次世代のコンセプトをデザインする。ここでは、コンセプトは仮に定めておき、具体的な検討を重ねることで、次第にコンセプトも本物として固まっていくというのが実際である。
2.アーキテクチャーの検討
つぎに上記で決めたコンセプトの方向で、製品系・工程系・情報系それぞれのアーキテクチャーを検討する。ひとつのアーキテクチャーを詳細に描くのではなく、3つセットでバランスをとりながらデザインしていくのがポイントである。
たとえば、工程編成・FA・自動化といったレイヤー2の要素から、工程系アーキテクチャーを概要設計する際は、生産管理・部品物流にわたり情報化はどうあるべきかとレイヤー3の要素を同時に折り込んでいく。つぎに、レイヤー4の検討にはいり、情報系アーキテクチャーについて、工数・品質・設備等のデータの取得方法とそのデータのマネジメントがどうあるべきかを設計する。その設計をふまえ、ビッグデータの活用など、自律化サイクルへむけた、いわゆるCPS(Cyber-Physical Systems)が自社でどの程度適合するかの検討に入るようなイメージである。
3.基本構想書のアウトプット
さいごに、時間軸の入った「次世代生産システム構想書2030(仮称)」をアプトプットする。この構想書は、コンセプトから生産システムの内容、着手の優先順位・投資オプション、運用システムなどが描かれているが、これは、各ステークホルダーへの説明書および、建設・設備・情報機器ベンダー等への要求仕様書でもある。また適切な意思決定・合意形成のためのものである。
スマートファクトリーコンサルティング検討内容例
次世代生産システム構想の概要イメージ例
JMACは構想立案段階だけでなく、実現フォローアップとして、要求仕様のベンダーなどへの提示、業者選定から実現プロセスでの諸問題の解決など、構想のスムースな実現ができるようプロジェクトメンバーを支援していく。
参考ページ
コンサルタント紹介

石田 秀夫
生産コンサルティング事業本部長/シニア・コンサルタント
大手自動車メーカーに入社し、エンジニアとして実務を経験した後、JMAC入社。事業/生産/技術/知財戦略を組み合せた次世代ものづくり/スマートファクトリー化を推進。
【主なコンサルティング領域】
・開発生産戦略立案、ものづくり領域全般
・国内外の新工場工場立ち上げ設備投資計画
・スマートファクトリー構想立案策定支援

毛利 大
プロダクションデザイン革新センター長/シニア・コンサルタント
メーカーを経てJMAC入社。生産戦略と呼応した生産システム再構築支援、新工場建設、生産プロセス再設計を得意とする。
【主なコンサルティング領域】
・生産戦略立案、新工場建設、生産拠点再編
・需給特性応じた生産管理プロセス再構築
・デジタル化を通じた総合生産性向上支援
・スマートファクトリー構想立案と構築支援

神山 洋輔
プロダクションデザイン革新センター/チーフ・コンサルタント
製造業の次世代生産システム構築立案からIoT化デジタル化支援含めた総合コンサルティングを行っている。
【主なコンサルティング領域】
・新工場計画/工程設計
・設備生産性向上/労働生産性向上実践
・製造業のデジタル化推進支援
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